2020年度第4回北辰テストレビュー(数学)
こんにちは。
公立高校受験指導専門塾
英泉塾中浦和校の佐藤です。
北辰テスト第4回は今年度初の会場での実施となりました。
今回はその北辰テスト第4回の数学のレビューを行っていきます。
今回の北辰テストの数学で、どの問題を正解すべきだったのか、差がつく問題はどこなのか、といったことについても解説していきます。
北辰テストの全県平均点は50.9点!
今回の北辰テストの試験範囲は、例年の第2回の範囲とおおよそ同じです。
休校期間を考慮して、こういった措置が取られています。
そんな今回の北辰テスト(数学)の平均点は50.9点でした。
例年40点台前半が平均点であることが多いので、今回の平均点は比較的高めと言えます。
ただ、解いた受験生からしたら、そこまで易しいとは感じなかったのではないでしょうか。
というのも、私も実際に解いてみて気になった点が1つありました。
それは、解きやすい問題と解きにくい問題の難度の差がかなり大きいということです。
この傾向は、近年の北辰テストの数学にはあまり見られなかったことです。
この点については、後ほど大問別に見ながら、説明していきます。
ちなみに、今回の数学のテストで100点を取った場合の偏差値は、83.5になります。
今回の平均点が46.0点の英語のテストで100点を取った場合の偏差値が75.1です。
つまりそれだけ今回の数学のテストで高得点を取るのは難しかったということです。
これから使う記号
これから北辰テストの数学の問題を見ていきます。
問題を見ていく際に使う記号を以下のように設定します。
◎…全受験生にとって正解すべき問題
△…全受験生にとって不正解でも大きな痛手にならない問題
★…上位校を狙うなら正解すべき問題(=差がつく問題)
☆…中・上位校を狙うなら正解すべき問題
上位校の目安としては偏差値65以上、中位校の目安としては偏差値55以上を想定しています。
それでは始めていきます。
大問1の最後の問題が方程式の利用!
大問1(46点)
問1…文字式の計算(4点)◎
問2…正負の数の計算(4点)◎
問3…式の計算(4点)◎
問4…因数分解(4点)◎
問5…式の値(4点)◎
問6…連立方程式の計算(4点)◎
問7…反比例(4点)◎
問8…文字式の利用(4点)◎
問9…おうぎ形の面積(4点)◎
問10…角(4点)◎
問11①…1次方程式の立式(3点)☆
問11②…1次方程式の利用(3点)☆
大問1は◎の問題が40点分あります。
今回の問題でこれまでと明らかに異なる点があります。
これまで方程式の利用の問題は大問2の最後にありました。
しかし、今回それが大問1の最後に来ました。
問題自体はこれまでのものと大きな違いはありません。
この変更により、大問1の問題は全体的に解きやすいものとなりました。
大問1の中で差がつく問題はありません。
大問1で正解しやすい問題が多かったことが、今回の比較的高い平均点につながったと考えられます。
それでは問題別で何問か見ていきます。
問7は反比例の問題ですが、よく見られる典型的な問題です。
y=a/xではなく、xy=aを使って答えを求めましょう。
問9はおうぎ形の面積を求める問題です。
おうぎ形の弧の長さや面積を求める問題は北辰テストで頻出の問題です。
この辺りの問題で自信がない人は、1年生のころの学校の教科書やワークを使ってぜひ復習しましょう。
問11は方程式の利用の問題です。
これまでの問題では大問2の最後で出題されていた分野ですが、今回大問1の最後での出題となりました。
中位校以上を目指す人なら問11も正解して、大問1を全問正解したいところ。
問11①の受験生全体の正答率は57.7%ですが、偏差値55以上の受験生の正答率は80.7%、偏差値60以上の受験生の正答率は91.3%でした。
また、問11②の受験生全体の正答率は44.4%ですが、偏差値55以上の受験生の正答率は56.9%、偏差値60以上の受験生の正答率は84.8%でした。
今回の大問1は多少の問題形式の変化がありましたが、それに惑わされることなく解けたかどうかが今回の結果を左右するポイントになったと考えられます。
大問2の難易度は高め
大問2(26点)
問1…作図(5点)△
問2…正負の数(4点)★
問3…体積(4点)☆
問4…資料の活用(4点)◎
問5①…規則性(4点)◎
問5②…文字式の利用(5点)△
大問2は◎の問題が8点分あります。
今回の大問2は取れそうで取れない問題もいくつかありました。
かなり難しい問題もありました。
問題順で見ていきましょう。
問1の作図はいきなり難しい問題です。
この問題が解ける人は数学にかなりの自信がある人なのではないでしょうか。
実際のところ、受験生全体での正答率は3.6%でした。
これはものすごい低さです。
問2は整数の個数を求める問題でした。
大問2の中での差がつく問題は問2です。
意外と解けそうで解けない問題の1つでしたね。
受験生全体の正答率は38.2%で決して高くありません。
しかし、偏差値55以上の受験生の正答率が45.2%、偏差値65以上の受験生にいたっては正答率が91.3%でした。
上位を狙うのであれば、こういった問題でミスすることなく確実に正解できるようにしておく必要がありますね。
問3は中位校以上を目指す人なら正解しておきたい問題の1つです。
問3は、問題文から情報を確実に読み取れたかどうかで正解できたかが分かれたと思われます。
図では∠ABC=90°であることがわかりにくいのですが、問題文にはしっかり∠ABC=90°であることが書いてあります。
角柱の体積を求めるためには、(底面積)×(高さ)ですよね。
底面の台形のどこが上底、下底、そして高さがいくつか、1つ1つ考えていきましょう。
問3の受験生全体の正答率は55.1%でしたが、偏差値55以上の受験生の正答率は76.5%でした。
問4は難問が多い大問2の中で比較的解きやすい問題でした。
問4の受験生全体の正答率は77.2%でした。
最頻値を求める問題のポイントは、とにかく面倒くさがらずに数えること、これに尽きます。
問5①も大問2の中では正解するチャンスがかなりあった問題でした。
問題文中に1番目~4番目までの図がありました。
それを使って数えて、では5番目はどうなるか?を考えましょう。
問5①の受験生全体の正答率は78.5%でした。
問5②はかなりの難問でした。
問5②の受験生全体の正答率は2.4%という低さ。
ヒントは問題文中にもありましたが、それにしても難しい。
これからの北辰テストや入試問題当日にこういった難問が出てきたときには、まずは飛ばして最後に解くようにしたほうが得策です。
結果、この問題が解けなかったとしても気にする必要はありません。
ただ、浦高や一女、大宮といったトップ校を目指している受験生には、これからでも解説などを見ながら再度考えてみることをおすすめします。
こういったとても難しい問題を考えることで、数学力アップにつながります。
大問3は2問とも難しい…
大問3(11点)
問1…傾きの範囲(5点)★
問2…面積(6点)△
問1はいきなり難しい問題でした。
例年であれば、問1で傾きや直線の式を求める問題が来ることが多いのですが…。
大問3の中での差がつく問題を問1としました。
求め方自体はシンプルですが、どう考えていいかわからなかったという受験生も多かったのではないでしょうか。
問1の受験生全体の正答率は26.7%でしたが、偏差値65以上の受験生の正答率は89.4%でした。
上位校を狙う受験生はこういった問題でも確実に正解してくるのでさすがですね。
問2は全受験生にとって不正解でも大きな痛手にならない問題です。
受験生全体の正答率が3.4%でした。
実は問題自体は珍しいものではありません。
入試問題やその対策の問題集でよく見る問題ではあります。
似たような問題が学校ワークの中で出題されていることもあります。
ただまだ9月、こういった頻出の入試問題を解き始めている受験生が少ないということもあり、この正答率になったと考えられます。
せっかくなので、問2の解説を少ししておきます。
”長さが最短”となったら、垂直、もしくは直線を考えます。
今回は直線です。
点Bのx軸を挟んだ反対側を点B'(7,-3)とします。
直線AB’の式を求めます。
この直線AB’とx軸の交点がPとなります。
AP+BPを、AP+B’Pとして考えるというわけです。
最短になるためにはこのA,P,B’が一直線上にあればいいのです。
Pの座標がわかったので、あとは面積を求めればそれが答えとなります。
難しい問題ですが、復習して今のうちにマスターできるといいですね。
大問4は証明がチャンスあり!
大問4(17点)
問1…合同の証明(7点)☆
問2①…角の大きさ(5点)△
問2②…面積(5点)△
問1は証明の問題でした。
中位校以上を目指す人なら、問1は正解したい問題です。
この問題の正答率は53.5%でした。
証明というだけで、「無理だ…」となる受験生も少なくないと思いますが、それはもったいないですよ。
今回の証明の問題、意外と書きやすいです。
仮定で2つ、重なっている角があるのでそれで1つ、この3つを書けばOKです。
注意する点は、今回直角三角形の合同を示すので、合同条件を書くときに「直角三角形の斜辺と…」というように、直角三角形というワードを忘れないようにすることです。
全受験生に言えることですが、普段の勉強から、意識的に証明の問題を取り入れて練習していくと、北辰や入試問題の証明の問題で正解できるようになりますよ。
繰り返しになりますが、「証明だから」という理由で「解かなくていいや」となるのはもったいないですよ!
問2に移りますが、2問とも難問です。
全受験生にとって不正解でも大きな痛手にならない問題です。
問2①の受験生全体の正答率が1.8%、問2②の受験生全体の正答率がなんと0.0%でした。
どちらの問題も相当難しい問題でしたので、当日こういった問題に直面したときには、切り替えて、これまでの問題の見直し、解き直しに入ったほうがいいでしょう。
にしても、大問4は3問ありましたが、そのうち2問が2%未満の正答率。
今回の北辰すごく難しい、と感じた受験生も多かったことでしょう。
まとめ
全受験生にとって正解すべき問題(◎)は、48点分でした。
内訳
大問1 問1~問10
大問2 問4・問5①
上の48点分すべてが取れれば、偏差値48です。
この48点にあとは証明などでどれだけプラスできるかで結果が大きく左右されます。
差がつく問題(★)は、9点分でした。
内訳
大問2 問2
大問3 問1
差がつく問題の配点が、例年のだいたい半分くらいでした。
もう一つ、見ておきましょう。
全受験生にとって不正解でも大きな痛手にならない問題(△)が何点分だったかは、以下の通りです。
内訳
大問2 問1・問5②
大問3 問2
大問4 問4①・②
全受験生にとって不正解でも大きな痛手にならない問題(△)は、26点分でした。
いずれの問題も全受験生の正答率が5%未満という難問でした。
これを全て落とすと74点となり、今回だと偏差値は67.8になります。
偏差値70を超えるためには、△以外の問題で全問正解し、なおかつ△の問題で正解とまではいかなくとも部分点をもらえるようにする必要があります。
作図の問題や答えを求める過程を書く問題では、部分点をもらえるチャンスがあります。
ですので、余った時間で少しでも戦った痕跡を残すことができれば、偏差値70に到達できる可能性が大いにあります。
特に上位校を目指す受験生には、日頃から少しでもいいので難しいと感じる問題に取り組むことをおすすめします。
難しい問題に取り組むことを日々やっていくことで、北辰テストや入試問題の難問にも対応できる力がついていきますよ。
中位校、もしくは偏差値50後半、60台を目指す受験生には、まず基礎基本の徹底に取り組むことをおすすめします。
学校教科書の最後の部分にまとまって載っている問題を解くのもありです。
北辰テストではかなりの難問が出される一方で、勉強を積み重ねていけば正解できる問題も出題されます。
そして配点は後者の方が大きいわけです。
したがって、基礎基本を固めていくことが、自分の目標を目指すうえでの第一歩となります。
次の北辰テストは10月4日です。
第4回は初めて会場での北辰テストだったので、戸惑った受験生も多かったかもしれません。
次回第5回、第4回でうまくいったこと、うまくいかなかったことの両方を踏まえて、持てる力を発揮できるように今から準備していきましょう。
以上、北辰テスト第4回の数学のレビューでした。