2020年度第5回北辰テストレビュー(数学)
こんにちは。
公立高校受験指導専門塾
英泉塾中浦和校の佐藤です。
早くも10月も折り返しになろうとしています。
北辰テスト第5回も前回の第4回同様、会場での実施となりました。
今回はその北辰テスト第5回の数学のレビューを行っていきます。
今回の北辰テストの数学で、どの問題を正解すべきだったのか、差がつく問題はどこなのか、といったことについても解説していきます。
北辰テストの全県平均点は49.8点!
今回の北辰テストの試験範囲は、例年の第3回の範囲とおおよそ同じです。
休校期間を考慮して、こういった措置が取られています。
そんな今回の北辰テスト(数学)の平均点は49.8点でした。
前回第4回の数学の平均点は50.9点だったので、若干下がりました。
今回もいくつか難易度が高い問題がありました。
90点以上の点数を取るには非常に厳しい問題でした。
今回の数学のテストで100点を取った場合の偏差値は、82.2になります。
ちなみに、得点89点で偏差値75.5、得点80点で偏差値70.0、得点65点で偏差値60.1、得点50点で偏差値50.1となります。
北辰テストの数学での成功のカギは、基本的な問題でどれだけ正解できたか、です。
第4回の北辰テストの数学でもそうでしたが、難しい問題と解きやすい問題が比較的はっきり分かれているので、「ここは確実にとろう」と思う問題で、しっかり○がつくようにしたいですね。
これから使う記号
これから北辰テストの数学の問題を見ていきます。
問題を見ていく際に使う記号を以下のように設定します。
◎…全受験生にとって正解すべき問題
△…全受験生にとって不正解でも大きな痛手にならない問題
★…上位校を狙うなら正解すべき問題(=差がつく問題)
☆…中・上位校を狙うなら正解すべき問題
上位校の目安としては偏差値65以上、中位校の目安としては偏差値55以上を想定しています。
それでは始めていきます。
大問1の最後の問題が方程式の利用!
大問1(46点)
問1…文字式の計算(4点)◎
問2…正負の数の計算(4点)◎
問3…式の計算(4点)◎
問4…平方根の計算(4点)◎
問5…因数分解(4点)◎
問6…連立方程式の計算(4点)◎
問7…等式の変形(4点)◎
問8…1次関数(4点)◎
問9…空間図形(4点)◎
問10…角(4点)◎
問11①…1次方程式の立式(3点)☆
問11②…1次方程式の利用(3点)☆
大問1は◎の問題が40点分あります。
大問1の中で差がつく問題はありません。
前回の第4回の北辰テストと同様、1次方程式の利用の問題が大問1の最後にきました。
大問1は全体的に解きやすい問題が多かったですね。
それでは問題別で何問か見ていきます。
問7は等式の変形の問題です。
6x-3y+21=0
-3y=-6x-21
※次がポイント
3y=6x+21
y=2x+7…(答え)
今回、y=~とする問題です。
ただ移項だけすると、yの前に-がきてしまいます。
この-の処理を誤ると、不正解になってしまう可能性大です。
ですので、「すべての符号を反対にする」作業を先にしてしまいましょう。
※厳密にいうと、「すべての項に ×(-1) をする」作業となります。
こうすることによって、-の処理に関するミスも防げます。
分数で、y=6x+21/3 ※6x+21が分子で、3が分母
としてしまった人、この解答は誤りです。
分母の数で分子の両方の数が約分できる場合は必ず約分しましょう。
片方約分できて、もう片方は約分できない、という場合は約分していけませんよ。
問8は1次関数で切片の値を求める問題です。
点(-1,4)を通ると問題にあるので、x=-1とy=4をy=2x+aのxとyに代入しましょう。
1次関数の問題としましたが、代入してしまえば、1次方程式の問題に様変わりです。
問9は六角柱の辺の本数を求める問題です。
図が描かれていませんでしたね。
★角柱の辺の本数は、★×3 で簡単に求められますよ。
問10は正十二角形の中にある二等辺三角形の1つの角の大きさを求める問題です。
正十二角形の1つの角の大きさを求めてから、xの大きさを求める流れですね。
正十二角形の1つの角の大きさを求めるためには、
180×(12-2)÷12=150° でもできますが、
360÷12=30 180-30=150° でもできます。
外角は何角形であっても360°ですので、それを使うと楽に求められます。
問11は方程式の利用の問題です。
中位校以上を目指す人なら問11も正解して、大問1を全問正解したいところです。
問11①の受験生全体の正答率は48.4%ですが、偏差値55以上の受験生の正答率は72.2%、偏差値60以上の受験生の正答率は94.2%でした。
また、問11②の受験生全体の正答率は44.4%ですが、偏差値55以上の受験生の正答率は55.2%、偏差値60以上の受験生の正答率は84.9%でした。
問11全体の問題文には出てこず、問11①の方程式に突然出てくる、30xの30と50(□)の50が何を意味しているかを把握できたががポイントです。
また前回同様ですが、xを求めておしまい、ではありません。
問11②の答えを出すためには、xを求めてからもう1回計算しないと、正解にはたどり着けないようになっています。
大問2の難易度は高め
大問2(26点)
問1…作図(5点)△
問2…平方根の利用(4点)◎
問3…資料の活用(4点)★
問4…空間図形(4点)★
問5①…規則性(4点)◎
問5②…文字式の利用(5点)△
大問2は◎の問題が8点分あります。
今回の大問2も取れそうで取れない問題もいくつかありました。
かなり難しい問題もありました。
問題順で見ていきましょう。
問1の作図は前回同様、難問です。
今年の北辰テストの作図の問題は毎回難しいです。
受験生全体での正答率は6.4%でした。
この問題が不正解となっても大きな痛手にはならないでしょう。
問2は◎の問題です。平方根の利用に関するものです。
√が整数になるためにどんな数を代入すればいいか、という典型的な問題です。
√の中身が1,4,9,16,25,36,49…のどれかになるように考えればOKです。
1つ1つ地道に考えていくことが正解するためのポイントです。
問3は資料の活用に関する問題です。
大問2の中での差がつく問題の1つが問3です。
問3は、問題文から必要な情報を読み取って、試行錯誤しながら答えを求めていく必要があります。
自分で仮説を立てて、問題文の条件と矛盾がないかを考える問題です。
問3の受験生全体の正答率は24.4%でしたが、偏差値60以上の受験生の正答率は45.1%、偏差値65以上の受験生の正答率は73.4%でした。
問4は空間図形で1つの辺に平行な面を2つ答える問題です。
大問2の中での差がつくもう1つの問題が問4です。
空間図形の問題があまり得意でないと思う受験生も多くいるのではないでしょうか。
何日かおきに少しずつでも空間図形の問題に取り組んでみるといいですよ。
考えることが自分を強くします。
日々の積み重ねが大切です。
問4の受験生全体の正答率は21.0%でしたが、偏差値65以上の受験生の正答率は55.1%、偏差値70以上の受験生の正答率は70.2%でした。
問5①は大問2の中では正解するチャンスがかなりあった問題でした。
問題文中に4番目の図があります。
焦らず白いタイルと黒いタイルの枚数を数えましょう。
問5①の受験生全体の正答率は93.8%でした。
問5②は難問です。
問5②の受験生全体の正答率は8.8%でした。
この問題が不正解となっても大きな痛手にはならないでしょう。
また、この問題に部分点はありません。
今回せっかくなので、解き方を少し載せておきます。
まず黒いタイルと白いタイルの枚数の違いを考えます。
1番目では黒は白より2枚多い、2番目では黒は白より4枚多い、3番目では黒は白より6枚多い…、n番目では黒は白より 2n(…イの答え) 枚多い、とまず考えます。
次に、全体の枚数を考えます。
1番目では(1×2の2乗)枚、2番目では(2×2の2乗)枚、3番目では(3×2の2乗)枚…、n番目では(n×2の2乗)枚となります。
ここからがポイント。
新たに文字を置きます。
ここでは、n番目の図形の白いタイルの枚数をTとします。
T+(T+2n)=(2n)の2乗 ※白+(白+違い)=全体
これをT=の式にすると、T=2n2乗-n(…ウの答え) となります。
新たに文字を加えて解くことは、方程式の利用の問題ではあまりおすすめしません。
さらに難解になり、正解から遠ざかってしまうことが多くあるからです。
しかし、北辰テストのこういった文字式の利用の問題については、この方法が有効になります。
大問3の問1はチャンスあり!
大問3(11点)
問1…直線の式を求める(5点)☆
問2…面積(6点)△
問1は中位校以上を目指す人なら正解しておきたい問題です。
問1の受験生全体の正答率は42.8%でしたが、偏差値55以上の受験生の正答率は69.5%、偏差値60以上の受験生の正答率は91.0%でした。
直線の式を求める問題の中でも、典型的な出題パターンの1つです。
平行ということは、傾きが同じです。
通る1点(16,8)がわかっているので、y=ax+bで、a=1,x=16,y=8 を代入します。
こうすることによって切片が求められるので、答えもわかります。
この問題がよくわからなかった、自信をもって解けなかったという受験生には、1次関数の基礎をおさらいすることをおすすめします!
問2は全受験生にとって不正解でも大きな痛手にならない問題です。
受験生全体の正答率が0.3%でした。
テスト当日にこの問題が正解できた受験生は数えるくらいしかいなかったということですね。
でもせっかくめぐりあえた難問です。
トップ校を目指している受験生には、再度この問題を解きなおしてみることをおすすめします。
まず、解きなおす前に解説で何を言っているか、ときにはノートにメモしながら考えます。
そして次に、メモなど一切見ず問題だけを見て、もう一度解きなおします。
これをするだけでも、十分力がつきますよ。
大問4は証明がチャンスあり!
大問4(17点)
問1…合同の証明(7点)◎
問2①…角の大きさ(5点)★
問2②…面積(5点)△
問1は証明の問題です。
全受験生にとって、問1は正解したい問題です。
この問題の正答率は67.4%でした。
証明だからといって、敬遠してしまうともったいないです。
前回第4回でもそうでしたが、証明にチャンスありです!
「証明だから」という理由で「解かなくていいや」となるのはもったいないですよ!
問2①は角の大きさを求める問題です。
問2①は差がつく問題です。
問2①の受験生全体の正答率が17.3%、偏差値60以上の受験生の正答率は33.3%、偏差値65以上の受験生の正答率は61.0%でした。
この手の角の大きさを求める問題は、問1の証明を使うことを意識しましょう。
証明で等しい部分がわかったので、それを使う可能性が大です。
計算などして判明した角の大きさを1つ1つ図に書き込みながら考えていきましょう。
問2②は面積を求める問題です。
この問題は全受験生にとって不正解でも大きな痛手にならない問題です。
受験生全体の正答率が1.2%でした。
この問題も大問3問2同様、トップ校を目指している受験生には、再度この問題を解きなおしてみることをおすすめします。
まとめ
全受験生にとって正解すべき問題(◎)は、55点分でした。
内訳
大問1 問1~問10
大問2 問2・問5①
大問4 問1
上の48点分すべてが取れれば、偏差値53です。
この55点にあとは証明などでどれだけプラスできるかで結果が大きく左右されます。
差がつく問題(★)は、13点分でした。
内訳
大問2 問3・問4
大問4 問2①
もう一つ、見ておきましょう。
全受験生にとって不正解でも大きな痛手にならない問題(△)が何点分だったかは、以下の通りです。
内訳
大問2 問1・問5②
大問3 問2
大問4 問4②
全受験生にとって不正解でも大きな痛手にならない問題(△)は、21点分でした。
これを全て落とすと79点となり、今回だと偏差値は69.3になります。
前回第4回と同じく、今回も偏差値70を超えるためには、△以外の問題で全問正解し、なおかつ△の問題で正解とまではいかなくとも部分点をもらえるようにする必要があります。
第4回と第5回の問題の共通点は…
✓大問1は解きやすい問題が多い
✓作図がとても難しい
✓関数の1問目が易しいというわけではない
✓証明の問題にはチャンスあり!
となります。
これから第6回、第7回と北辰テストを受ける際にヒントにしてもらえれば幸いです。
次の北辰テストは11月1日です。
受験生の皆さんもだんだんテストを受けることに慣れてきたと思います。
次のテストまでに残された時間をどれだけ有効に使えるか。
学校の定期テストもありますよね。
受験生として、時間の使い方が試される時期になってきました。
体調管理には十分気をつけた上で、後悔のない日々をこれからも過ごしていきましょう。
以上、北辰テスト第5回の数学のレビューでした。