令和2年度埼玉県公立高校入試 数学(学力検査問題)レビュー
こんにちは。
公立高校受験指導専門塾
英泉塾中浦和校の佐藤です。
2020年2月28日、埼玉県公立高校入試の学力検査が無事終了しました。
受験生のみなさん、お疲れさまでした。
3月2日に実技試験や面接があるという受験生はあともう少し、気を抜かずにやるべきことをやっていきましょう。
※埼玉県教育委員会によると、3月2日の試験も予定通り行われるとのことです。(3/1 11:00確認)なお詳細は、埼玉県教育委員会のページをご参照ください。
今回、一昨日行われた埼玉県公立高校入試の数学(学力検査問題)のレビューを行っていきます。
配点に大きな変化が!
今年の埼玉県公立高校入試の数学(学力検査問題)の問題構成は以下の通りです。
大問1 小問集合(65点)
大問2 作図・証明(11点)
大問3 三平方の定理の利用(9点)
大問4 関数(15点)
大問4題構成は、学力検査問題と学校選択問題に分かれた平成29年度入試(2017年3月実施)から変更ありません。
今後も大問4題構成が続くと考えて問題ないでしょう。
今回大きな変更があったのは、大問4題の配点です。
過去3年、大問1が約50点、大問2が約20点という配点で問題が作成されていました。
しかし今回は違いました。
上記の通り、大問1で65点分です。
平成22年度入試(2010年2月実施)から埼玉県公立高校入試は各教科100点満点になりました。
埼玉県公立高校入試の数学はそれから昨年度の入試まで、大問1は必ず50点付近の配点とされていました。
それが今年度、令和2年度入試で大きく変わりました。
この変更を目の当たりにした受験生は試験中さぞかし驚いたかと思います。
来年度入試も大問1で6~7割分の得点になることを想定して入試対策を講じる必要がありそうです。
平均点アップは間違いなし
これまでの埼玉県公立高校入試の数学(学力検査問題)の平均点は以下のように推移してきました。
平成29年度入試(2017年実施)44.4点
平成30年度入試(2018年実施)44.0点
平成31年度入試(2019年実施)42.3点
令和2年度入試(2020年実施)?点
平成29年度入試で埼玉県公立高校入試の数学の問題が学力検査問題と学校選択問題に分かれてから、学力検査問題の平均点は年々下がり続けてきました。
推測の域を出ませんが、おそらく入試問題の作成者である埼玉県は、数学の学力検査問題の平均点が高めになるような問題を作成したいはずです。
というのも、かつての埼玉県公立高校入試の数学の問題の平均点が他の教科と比べても極端に低かったからです。
100点満点の問題で平均点が40点に満たない年もありました。
かといって過度に問題を易しくしてしまうと、今度は上位層で点数に差がつかなくなる。
だからこそ、数学と英語は学校選択問題と学力検査問題という形で分けたのでしょう。
実際のところ、3年連続で平均点が下がり続けました。
しかも平成31年度入試の平均点は42.3点。
上位層が受けてないとはいえ、これではかつての埼玉県公立高校入試の数学の平均点と変わりません。
そうであれば大問1で比較的易しい問題を増やして、どれくらい受験生が正解できるのかを見てみよう、と埼玉県は考えたのではないでしょうか。
過去3年の学力検査問題に比べて、今年度は易しい問題が多くありました。
したがって、今年度の埼玉県公立高校入試の数学(学力検査問題)の平均点は上がると予想します。
川口市立や浦和南など学力検査問題を採用している中での上位の高校では、数学で80~90点をとるような受験生がいても不思議ではありません。
大問1でどれだけ正解できるか
これから問題ごとに分析していきます。
問題と解答は埼玉県教育委員会のページからアクセスできます。
※PCによる閲覧推奨
大問1 解きやすい問題大幅増
(1)~(11)までどれもミスできない難易度の低い問題です。
(10)は変化の割合ですが、典型的な出題パターンなので解きやすいはずです。
(11)は選択肢から選ぶ問題ですが、冷静に1つ1つ選択肢について考えていけば正解できるでしょう。
(12)は誤っているものを選ぶ問題。大問1の中では難しい部類に入る問題かもしれません。
(13)~(15)の問題もあまり珍しい問題ではありません。(15)の中央値を求める問題も、対象となるデータの数が奇数個なので解きやすいものでした。
(16)は少し厄介な問題です。「適切な理由を書く」ことに戸惑った受験生もいたことでしょう。「母集団から無作為に選ぶ(抽出する)」という言葉はよく問題文に書かれてはいますが、その言葉自体を書く問題はほとんど見かけません。また、「乱数さい」もあまり見慣れない言葉です。しかし「母集団から無作為に選ぶ(抽出する)」や「乱数さい」といった言葉はいずれも学校の教科書に載っています。出題範囲が中学校で習うこと全てであることを改めて痛感させられる問題でした。
大問2 作図も証明も典型的な問題
(1)の作図は典型的な問題です。
しかも学校ワークの基本問題として出されるような、かなり基本的かつ典型的な問題です。
簡単すぎて本当にこれで合っているのか!?と思った受験生もいるかもしれません。
(2)の証明問題も平行四辺形の典型的な問題です。
この問題も学校ワークの基本問題として出されるような、かなり基本的かつ典型的な問題です。
証明問題だからといってすぐに解くのをあきらめてしまうのはかなりもったいないです。
大問3 三平方の定理が絡んでくるとやはり難しい
(1)は確実に正解しておきたい問題です。比例式をつくって解きましょう。
(2)は今年度の学力検査問題の問題の中でも最も難しい問題の1つです。
△A’B’Pが二等辺三角形であることがわかって、さらに右側の三角形で三平方の定理の1:2:√3を使って…と考えることが多い問題となっています。
解き始めてしまえばとんとん拍子で進められる受験生もいたかもしれませんが、やはり正解までに越えるべきハードルがいくつかあるので、正答率は低いでしょう。
大問4 (2)は差がつく問題
大問4は学力検査問題と学校選択問題で同じ問題が出題されました。
(1)は確実に正解しておきたい問題です。通る2点の座標がわかっているので、連立方程式で解くのがいいでしょう。
(2)①は典型的な問題ではありますが、簡単な問題ではありません。差がつく問題です。
ただ、川口市立や浦和南を狙う受験生にとっては正解しておきたい問題でもあります。
(2)②は問題の図2を参考に(6,6)は求められるかもしれませんが、もう1つの答えの(0,12)を求めるのは難しいです。
(6,6)が求められれば上出来ともいえるくらい難しい問題です。
入試当日にこの問題が解けなくても気にする必要はありません。
ちなみにこの問題の解き方は以下の画像を参考にしてください。
基本的な問題を繰り返し解いていこう
ここからは未来の受験生に向けたメッセージです。
学力検査問題の数学の問題で高得点をとる秘訣は、基本的な問題を繰り返し解いていくことです。
基本的な問題とは、学校の教科書やワークにある問題です。
学校の教科書やワークにある問題がスラスラ解けるようになっていれば、おのずと学力検査問題の数学の問題も解けます。
言ってしまえば、学校の定期試験対策勉強がそのまま受験勉強になるのです。
80点以上とろうと思うとこれだけでは足りない部分もありますが、まずは基本的な問題をおさえることが大切なのは同じです。
埼玉県は入試問題を受験生に解いてもらうことで、勉強ができるできないを見極めていますが、それと同時に受験生として努力をしてきたかどうかも見ています。
近年の学力検査問題は、勉強ができるできないより、努力してきたかどうかを重視している傾向になっているように見受けられます。
努力は必ず報われる!
この言葉を信じて日々勉強に取り組んでいってもらえればと思います。
長くなりましたが令和2年度埼玉県公立高校入試の数学(学力検査問題)のレビューは以上です。
受験生のみなさん、本当にお疲れさまでした!
3月2日に実技試験や面接があるという受験生はあともう少し、気を抜かずにやるべきことをやっていきましょう!