英泉塾 小学部 国語科では、暗誦・音読に力を入れています!

小学部本科コースの国語クラスと、スーパーキッズのスピード・リーディングクラスでは、古典の名文や詩歌をたくさん音読・暗誦してもらっています。

その目的はもちろん、子どもたちに言語感覚を養ってもらうことです。幼少期に優れた日本語の文章を繰り返し声に出して読み、そして覚えることは、自然な形で日本語の正しい感覚を身に着けることにつながります。

例えば、「声に出して読みたい日本語」でおなじみの、教育学者の齋藤孝さんは次のように述べています。

〝暗誦文化は、型の文化である。型の文化は、強力な教育力を持っている。一度身につけてしまえば、生涯を支える力となる。日本語の感性を養うという観点から見れば、暗誦に優るものはない。最高のものを自分の身の内に染み込ませることによって、日本語の善し悪しが感覚としてわかるようになる。モーツァルトを聴くことで、音楽の質を感じとる感性が養われるように、最高級の日本語にはじめから出会う必要がある。〟

〝詩は、朗誦したり暗誦したりすることにこそ魅力がある。意味を優先させるあまりに、小中学校の国語の教科書には簡単ものしか載せなくなってきている。日本語を体得するという観点からすると、子どもの頃に名文と出会い、それを覚え、身体に染み込ませることは、その後の人生に莫大なプラスの効果を与える。意味を解釈したとしても、暗誦できていないとすれば、その詩の名文の威力は半減してしまう。〟

〝日々の活動を通して、子どもたちに埋め込まれた宝は、生きていく上で大切な倫理観、言語感覚、あるいは、身体感覚や文化的な価値の高い音楽です。こうした宝は、おそらく子どもたちの生涯にわたって大きな財産となることでしょう。自分の内側に最高のものがすでに埋め込まれている。そして、それを自在に取り出すことができる。それは、教育の最高の果実です。〟

日本語の優れた詩歌や古典を繰り返し音読・暗誦することで、まさに感覚として正しい日本語を「体で覚える」ことができるわけです。そしてその体得した言語感覚は、生涯にわたって子どもの助けとなる。

コミュニケーション能力の重要性がますます高まっていく中で、母国語である日本語の感覚をしっかりと体得するために、暗誦・音読が非常に有効な手段であることがお分かりいただけると思います。

また、ノーベル文学賞を受賞した、「伊豆の踊子」や「雪国」の川端康成がこのように自身の幼年期を振り返っています。

〝少年時代、私は「源氏物語」や「枕草子」を読んだことがある。手あたり次第に、なんでも読んだのである。もちろん、意味は分かりはしなかった。ただ、言葉の響きや文章の調べを読んでいたのである。それらの音読が私を少年の甘い哀愁に誘いこんでくれたのだった。つまり意味のない歌を歌っていたようなものだった。しかし今思ってみると、そのことは私の文章に最も多く影響しているらしい。その少年の日の歌の調べは、今もなお、ものを書く時の私の心に聞こえて来る。私はその唄声にそむくことはできない……。〟

日本語による文学の美しさを世界に知らしめた川端康成が、やはり幼少期に触れた古典文学が、自身の言語感覚に多大な影響をもたらしたと述べています。まさに、名文の音読・暗誦の重要性を裏付けるコメントですね。

さて、小学部の暗誦課題として、様々な優れた素材をえりすぐって取り上げていますが、定期テストなどへの短期的な有用性も考慮し、中学校の教科書で扱われる古典の冒頭文や、詩歌なども多く取り上げています。

例)『おくのほそ道』(松尾芭蕉)

  『平家物語』

  『枕草子』(清少納言)

  『徒然草』(兼好法師)

  『竹取物語』

  『春望』(杜甫)

  『黄鶴楼にて孟浩然の広陵に之くを送る』(李白)

  『河童と蛙』(草野心平)

  『ふしぎ』(金子みすゞ)

  『蜘蛛の糸』(芥川龍之介)

  『初恋』(島崎藤村)    など

 

暗誦というと、「いやいやながらやらされている」といったイメージを抱かれる方も多いと思いますが、子どもたちは生き生きと、意外に楽しみながら毎回の課題に取り組んでくれています。

また、かなり長いものでもスラスラとそらで発表してくれるので、子どもたちの潜在能力の高さに驚かされてしまうこともしばしばです。さらに、コツをつかんでしまうと、覚えるための時間がさほどかからなくなり、短時間で暗記できてしまうようにもなっていて、暗誦が『暗記力』の向上にも絶大な効果をもたらしていることは間違いありません。

今後も英泉塾の小学部では、お子様の様々な能力を最大限に引き出すために、確かな教育を実践してまいります。

お父様・お母様のご理解・ご協力をいただきながら、お子様が生き生きと自分の人生を切り開いて行ける力を獲得できるよう、私たちも日々努力してまいります。

 

なお、英泉塾では、1週間無料の体験授業も随時実施しておりますので、よろしければ是非ご参加ください。

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小学部教務部長・国語科主任 渡辺高章